2006年08月09日

臨場感

東京にも台風がやってきた。台風一過を台風一家と信じ込んでいる人は、おそらくうちの妹だけではないのだが(日本で小学校に行っていないと驚くほどあたりまえのことを知らなかったりするものだ)、今回はまさに台風Familyと言ってもおかしくないほど、台風が群れをなしてやってきた。

台風の通り道になって被害に遭われた皆さんには、心からお見舞い申し上げます。とくに農業に従事している方たちにとっては、今年はほんとうに災難つづきだ。地球が壊れてしまうと農業や漁業といった第一次産業がまず大打撃を受ける。人間食べるものがなければ生きてはいけない。そう考えると、自分もエコな生活をして、少しでも環境悪化を防ぐように心がけなくてはいけないな、と思ってしまう。

で、台風がやってくると、必ずニュース番組では現場中継とやらをやっている。たいていは沖縄、九州あたりの海岸線に立ったカッパを着たアナウンサーが髪を振り乱しながら
「強い風雨で立っているのもやっとの状態です。今後、被害の拡大が懸念されます」

とか息を切らしながらやっているあれである。東京あたりに住んでいると、紀伊半島から静岡の御前崎周辺に中継現場が移ってくると
「今夜あたり来るぞ」

と迫り来る臨場感を肌で感じることになるのだが、それにしてもなぜわざわざ大雨大風のなか、それもよりによって危険な海辺に立って現場中継が必要なのか、冷静に考えると非常に妙な感じもする。ついでに言えば、その中継を見ながらスタジオのアナウンサーが
「○○さん、じゅうぶん気をつけて取材を続けてください」
とか言っちゃってるのも空々しい気がするのだ。危ないとわかっているんなら行かせるなよ、と思っているのはおそらく管理人だけではないはずだ。

それでも暴風雨のなか、髪を振り乱す現場中継はやはり台風情報のメインイベントだ。一般的に元気そうな若手のアナウンサーや記者がその任を担っているところから見ると、もしかすると、あれは業界では若手の登竜門なのかもしれないな、という気さえする。中には、あれをやりたいがために、わざわざ台風の通り道である地方局に就職する若者もいるのかもしれない。たいていの台風の進路にあたる沖縄の局では、入社試験の科目に「台風現場中継」なんてぇのがあるのかもしれないなんて馬鹿なことを考えてみたりする。年に何度もこういう中継をする局には、当日に着る小道具のカッパや水に濡れても壊れないマイクなんていう「現場中継用グッズ」がちゃんと用意されていて、めったに進路に入らない局にたまに貸し出しなんかするのだろうか?とか思うだけでひとりほくそ笑んでしまう管理人はやはりちょっと変かもしれない。

けっきょく台風の現場中継も「〜ねばならぬ」というものの一環なのだ。
「東京は焼けつくような猛暑です」
といううしろに流れる映像が、いつも東京駅の丸の内口の陽炎が立ったアスファルトの地面であるように(渋谷のスクランブル交差点でもいいはずなのに?)、正月やお盆の帰省渋滞のときにわざわざ混んでいる料金所付近を空から撮った映像が流れるように(長い高速道路のなかにはちゃんと流れている場所もあるだろうに?)、だからきっと日本中の野球場がすべてドーム化したとしても、甲子園球場だけは建て替えてもオープンエアーの球場であり続けなければならないのだ。だって、夏の甲子園で汗をダラダラたらしながら首にタオルを巻いた応援団がいないのではお話にならない。クーラーが入った快適な環境のなかでは高校球児の球宴も臨場感がなさすぎる。

人間というのは、けっきょく「こうあるべき」と信じていることが目の前に再現されることで安心感を得る動物なのだ。台風中継ではアナウンサーが髪を振り乱し、渋滞の中継では長い車列を見ることで、やっぱりなと思うことによって安心感を得ている。

昨晩のように嵐の中、雷などが鳴ったりすると恐がりの姫はとたんに落ち着かなくなって部屋のなかを右往左往することになる。世間には嵐の中、外の犬小屋に丸くなって恐怖に震えている犬や、車の下やもの陰で嵐が過ぎるのを待っている野良猫がたくさんいるのだと思うと管理人は心配になる。べつに犬猫はぜったいに室内で飼わなくてはならない、とは思わないが、飼い犬、飼い猫に関しては、せめて嵐のときだけは、玄関でもいいから家のなかに入れてやって欲しいな、と節に思うのだ。

台風の現場中継も、いつもいつも荒れ狂う海をバッグにやるばかりではなく、たまには誰かの家に庭でやってみるのも一興じゃないだろうか。

「こちらは、台風が近づきつつある紀伊半島の先端に近い○○さんのお宅の庭のようすです。ごらんのように番犬のポチは犬小屋の隅に丸まってじっと嵐が過ぎるのを待っています。雷や嵐の夜は、恐怖でパニックに陥った犬が鎖を切って逃げだすなどの事故も多発します。また強風で犬小屋が飛んでしまうなどということもありますので、通り道にあたっている地域の皆さんは、今後の台風情報にはくれぐれもご注意ください」


RIMG0831.JPG
外の嵐をよそに、室内でぬくぬくハの字になっているおふたりさん

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ニックネーム 犬猫屋敷の管理人 at 13:21| Comment(7) | TrackBack(0) | 管理人の独り言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カキ氷の食べすぎでお腹が痛いはずなのに、お腹を抱えて笑ってしまいました(笑)
確かにわざわざ現場に行く事もなければなんで命がけで台風の強さを実証しなきゃいけないのかはきっとあの業界の人にしかわからない快感があるからなんでしょうね…
我が家では一番大きな台風が上陸したときにベランダ(及び外)にでて雨に打たれてそのままお風呂へ直行するのがイベント化しています。
Posted by NANAMI at 2006年08月09日 14:55
台風一家は29歳夏まで信じておりましたとも・・・・
日本で教育受けてたって、そんなもんですw
Posted by つむぎ at 2006年08月09日 16:02
↑元文芸部員つむぎでございました・・・
Posted by つむぎ at 2006年08月09日 16:03
私も台風一過を『一家』だと信じて疑わなかった人間の一人ですw

台風中継って大変ですよね。|・∀・)ニヤニヤ
http://www.youtube.com/watch?v=47b4BKKebi4
Posted by リリーパパ at 2006年08月09日 23:36
★★NANAMIさん江★★
やっぱりみんな打たれたいのか、嵐の大雨?! それにしてもNANAMIさんの一家……妙だよぉ〜外からベランダのようすを見てみたい気もするが……たとえば10分おきに家族が次々出てくるところはぜったいおかしいと思う。それで「きょうは父さんがパンツまでびしょ濡れになったから一番エライ」とか自慢しあうのだろうか?

★★つむぎちゃん江★★
元文芸部員つむぎの29歳にいったい何があったのか? 知りたい……

★★リリーパパさま江★★
やっぱり、やらせだったんかい!? もしかして台風現場中継ってエンターテイメント? まあ、ある意味自然相手の格闘技と言えないこともないのだが……
Posted by 管理人 at 2006年08月10日 00:04
何があったかは覚えてないけれども
29歳夏に
「台風一家を台風一過とはじめて知りました」とweb日記(当時ブログではなかった)に書いた記憶があるので

なにがあったのか・・・つむぎも知りたい
Posted by つむぎ at 2006年08月10日 10:59
29歳で気づいて良かった、つむぎちゃん。うちの妹なんて○○歳になって「台風Familyがさ」って……

日本語の勘違いシリーズネタはもっとありまっせ。

「タンスのもやし」
「京都大原三千人」

……妹じゃないけどね……べつに帰国子女友だちの勘違い(^_^;)
Posted by 管理人 at 2006年08月10日 23:00
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