2006年07月13日

座るまで待とう、強情犬

そう考えると、じつは思いあたる節があった。姫はトイレの躾が巧くできていなくて、うちに来てから、ほんとうにごく最近になるまでお漏らし癖が完全にとれなかった。♀犬のシッコポーズというのは慣れないとオスワリと勘違いする。じっさい当初、管理人も「姫、ノー!」と叫んだら、ただ座ろうとしただけだったということが何度かあったのだ。

座ろうとする→No→オスワリはいけないこと

そんな法則が姫の中にできていてしまったとしたら、姫が断固として座らない理由も合点がいく。同時に叱られるから座らないと決めているのだとしたら、座れば良いことがあると教えればオスワリをさせるのも夢ではないはずだ。

そこで管理人は半信半疑のまま「座ったら、何でもいいから褒めちぎる」作戦を始めたのである。ちらっとでも姫が座っているところを見かけたら、ともかく狂ったように褒めまくる。来る日も来る日もそんな地道なことを続けた結果、半年ほど経ったころ、ようやく姫は管理人の部屋の中でならふつうに座ることができるようになった。つまり、座ることは良いことだと教えるための半年の月日を経て、ついにふつうのしつけサイトに書いてある、片手におやつを持って鼻面よりうえに上げて「Sit」とコマンドをかけましょうという最初のところに行きついたのである。

いったんそこまで行ってしまえば、そこから先は比較的楽だった(とはいっても、けっきょくまたその後半年くらいはかかったのだが)まずは廊下でオスワリができるようになり、次に庭でなら座るようになり、散歩の途中、公園でならオスワリのコマンドに従うようになり、ついに最後は車がびゅんびゅん通る国道のそばでもきっちり座れるようになった。いまでは外出先であっても、姫はどこでもちゃんとオスワリができる犬になった。いまや、管理人が帰ってくると、姫は玄関でちゃんとオスワリして待っている。いくら教えてもツチノコ兄弟にはぜったいできなかった芸である(ツチノコはあいかわらず興奮して玄関じゅうを駆け回る)。犬猫屋敷風に言えば、これでついにひとつのコマンドが完成したことになる。

この長い長い行程のなかで、さまざまな事実がわかり、管理人自身も成長した。

たとえば、姫は言葉のコマンドがとても苦手で、さまざまな言葉の中から「Sit」というコマンドを聞き分けることが巧くできない。だが、ハンドサインはすぐに覚えたので、管理人はツチノコ兄弟に対しては曖昧だったハンドサインをきちんと出す習慣ができた。

姫にはコマンドという概念がどうやらもともと入っていない。頭のいい犬なので状況に応じてこういう動作をすべきだ、ということは比較的すぐ覚えるのでふだんの生活には支障がないが、たとえば玄関のたたきではスワレマテがちゃんとできるのに、餌を前にして待たせると、「マテ」で待って「OK」で食べるのではなく、最初に何か言われたら待ち、次に何か言われたら食べ始めるといった具合に、こちらのいう言葉を理解しているとはどうも思えない。コマンドにはいくつも種類があって、その言葉に従ったから褒められるのだ、ということを教えていくのはじつはこれからの作業なのだ。

誰にも増して食いしん坊な姫なのだが、じつは姫のしつけにご褒美はあまり必要はない。むろんご褒美があればますますやる気は出るのだが、極端な話、褒美などやらなくても褒めてやるだけで姫はきちんと動く犬だということがわかった。これは、オスワリ褒めちぎり作戦を実行していたときに判明したことである。ともかく座っている姿を見たら褒める、という作業を繰りかえしているとき、おやつ箱に手を伸ばすと、姫はおやつ欲しさに立ちあがって近寄って来てしまう。これでは座るという行動に対して褒められているというのが曖昧になるので、基本的におやつは一切使わなかった。つまり、姫にとってはたとえおやつがなくても、褒められることだけでじゅうぶん報酬になっていたのだ。

てなわけで、姫にオスワリを教えることは、管理人にとっては、ある意味、人生最大のチャレンジだった。正直オスワリひとつにここまでかかるとは思わなかったし、いままでは「オスワリなんてできてあたりまえ」と思っていたのが、オスワリもどうしてなかなか奥が深い、と考えを変えざるをえなくなったのだ。だが、他人から見ればたかがオスワリである。「何ができますか?」と訊かれて「オスワリ」と胸を張って答えても、「なんだ、この飼い主は?」と呆れた目で見られるだけだ。

だが、姫のオスワリはそんじょそこらのオスワリとは訳がちがう。何しろ2年越しで完成させた究極の芸なのである。

オスワリというベルリンの壁なみに高いハードルを越したおかげで、姫は、現在同時進行で三つの芸を練習するまでになった。1年越しで頑張っているフセ(第一ステージはようやくクリア)、半年がかりのお手(おそらくあと3年はかかるもよう)、先月から始めたクレートトレーニング(なぜかこれだけは、ほぼ完成)に関しては、また日を改めて書いていくが、ともかく、誰がなんと言おうとうちの姫ちゃんは最高である。

そして管理人はいま、あのとき「姫はバカだから、もう成犬だから今さらオスワリなんて」と諦めなくて良かったな、とつくづく思っている。

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ニックネーム 犬猫屋敷の管理人 at 00:48| Comment(3) | TrackBack(0) | しつけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つむぎなりの解釈をここで一つ。
姫さまが言葉ではなく、ハンドサインでのコマンドに反応する→実はもとの飼い主は発声が苦手であった。
姫様がなかなか座らない→実はショードッグだった(ショードッグは座るコマンドを入れないときいたことがありので)

つまり!姫さまは言葉の不自由な人の元で、ショードッグの訓練を受けていたのだ!!!!

どうです?この飛躍した考え方
Posted by つむぎ at 2006年07月13日 08:48
ひょっとして英語のコマンドがだめとか?<姫ちゃん
わたしのコマンドながいです。
『ほーらお座りよ。お座りできるよね。うん、君ならできる、お座り』
(^^;
Posted by せるっち at 2006年07月13日 15:11
★★つむぎちゃん江★★
飛躍しすぎ! そうなんだぁ〜ショードッグって座るコマンドを入れないもんなの? 知らんかった(忙しくて真偽を確かめに行く暇がない(^_^;))

元の飼い主はね、おそらくオスワリ挫折組だったんじゃないかと、管理人は思っているんだ。オスワリが巧くいかなくてけっきょくそこでトレーニングなんて必要ない!って放り出しちゃったタイプ。姫はじつは行動ニーズが強くて訓練性能が高い子犬だったはずだから、けっきょく最後には飼いきれなくなったのだ、と思います。と、単なる管理人の推測ですが(じつはフランス語でばっちりコマンド入っていたりして−大汗)

★★せるっちさま江★★
日本語のオスワリとかいちおう一通り試したんですよ。で、唯一反応があったのは「スワレ」だった。ハンドサインのおかげでいまは「Sit」に統一できましたが……

せるっちさんとこのコマンド……長っ(^_^;)。でも毎回これをフルコースでやっているのなら、そりゃ立派なコマンドだ。いいんだよね、その飼い主が言いやすければそれで。現在管理人は姫に「手羽先」でお手をさせたい、と心密かに願っているのだ!
Posted by 管理人 at 2006年07月13日 20:57
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