2006年09月17日

天使と悪魔

またもや、姫さんの発作で朝っぱらから起こされた。

とつぜん気温が下がってきたので、そろそろ来るなと思っていたら、案の定だ。姫と暮らしはじめて、早2年。いまでは姫の発作すらだいたい予測がつくようになった。頻度が多いのは春と秋。気温が激しく上下するときが一番危ない。なるべく体感温度を一定に保つべく、服を着せたり、室温を調整してはいるのだが、完全に発作をゼロにするまでには至っていない。まあこれは姫の持病だし、うちに来る前から判っていたことなので、こういうものだと諦めてうまくつきあっていくしかないのだが、何も知らずに姫を家に迎え入れていたとしたら、こんなことでも飼い主側のストレスになるのかもしれない。

発作が治まったあと、姫はいつものようにおもらしをした。きょうは軽い発作だったので、自力でトイレの前まで行ったのに、そこでは何も出ず、その後わざわざ犬用ベッドの上まで移動して、そこでジャーッとたれやがった。失禁というよりは単なるお漏らしだ。

管理人がぶつくさ言いながら犬用ベッドのカバーをはがし、それを洗濯機に放り込んで戻ってくると、こんどは部屋の入り口のいつもの失敗スポットにも水たまりができていた。

管理人が部屋を出たときには何もなかったので、管理人が部屋を離れたほんの数分のあいだにしたものだ。おまけに犬用ベッドの上で大量にしたくせに、お印程度ではなく、こちらもけっこうな量の水たまりだった。

ヒートのあいだ、姫のトイレの失敗の確率は格段に上がってしまう。ヒートのせいで頻尿になるのでトイレが汚れているのに気づかないでいると、トイレの脇のスポットでしてしまうからだ。そこが失敗スポットであることはすでに判っているので、掃除がしやすいようにクッションフロアを敷いてある。管理人なりの自衛策なのだ。

犬にとってトイレの失敗というのは、たいした問題ではないのだが、飼い主にとっては犬の問題行動の筆頭だ。じっさい、年がら年中お粗相の後始末をしていると、こんな犬いなくなってしまえと思う瞬間だってないわけではない。とくに仕事から疲れ果てて帰ってきて、まず最初にやることが床掃除なんて毎日が続くと、いっそ捨ててしまおうかと思ったって仕方がないと管理人も思うのだ。

問題犬の飼い主の心には天使と悪魔が同居している。

天使が勝つか、悪魔が勝つかはちょっとしたきっかけで変わってくる。たとえば、犬のお粗相に悩んで、問題行動のお悩み相談サイトを見に行って

「成犬のトイレの失敗は治りません。マーキング癖は直せません」

などと読んだりしたら、もうダメだ、放棄するしかないと思ってしまう人だっているだろう。

たしかにトイレの躾が曖昧な成犬を完全に直す手段というのは管理人も知らない。家に来た最初に、失敗させないノウハウというのはあるのだが、そのステージを過ぎてしまったあと、すでに失敗してしまったあとのフォローの方法で、必ず効くという特効薬のようなものは聞いたことがないのだ。

だが、きちんとできたら褒めてやる。トイレで排泄することは良いことなのだと地道に教えていくことで、トイレの失敗は少しずつ減っていく。

うちに来た当初、姫は敷物を敷くと必ずそこでマーキングという悪癖があったのだが、いまは敷物を見てもそこで失敗することは完全になくなった。ヒートのときはこまめにトイレをさせる。寒くなったら服を着せたり暖房を入れたりして、頻尿にならないように注意する。失敗が多い場所にはあらかじめクッションフロアを敷いて、万が一失敗しても掃除が楽なように工夫する。トイレの失敗を完全になくすための特効薬ではないにしろ、ふつうの飼い主がふつうにできるちょっとしたアイデアはたくさんある。そうやって工夫しながら地道なトレーニングを続けていくことで、いつかは失敗の確率が限りなくゼロに近づいていく。

犬を飼うということは、そんなこと小さなことの積み重ねなのだ。

ダメ犬が一瞬にして名犬に変身するような魔法みたいなコマンドなどこの世には存在しないし、黙って座ればぴたりと当たるみたいなカリスマトレーナーなんてものは、テレビの世界の虚像でしかない。最初から何ひとつ問題がなく、教科書通りのすばらしい犬飼い生活を送っている飼い主さんと犬というのも決していないわけではないのだが、そんなものはじっさいほんの一握りの幸運な人間でしかない。たいていの人は多かれ少なかれ犬の問題行動に頭を抱えて、どうしたらいいかと試行錯誤を続けている。

多くの飼い主の耳元では、つねに天使と悪魔が交互に囁きを繰りかえす。

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ニックネーム 犬猫屋敷の管理人 at 12:24| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする