2006年08月04日

イグアナ

うちは犬ではなくイグアナを飼っているのかもしれない、とふと思う瞬間がある。

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姫が香しい標的にロックオンし、頭を下げ、姿勢を低くして、がに股歩きのまま一気に臭いの元に突進する後ろ姿を見るときだ。

こうなると「ヒール」と叫ぼうがレバーを振ろうが奴は振り向きもしない。ちなみに地道な半年間のお稽古の甲斐あって、障害物がない場合はこんな感じでちゃんとハンドラーを見上げて歩くなんてことだってできるようになっている。

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こっちが止まれば、いわれなくてもその場でオスワリなんて芸当だってやってのける。そこだけ見れば、まるで正式なトレーニングを入れた名犬のようにさえ見えるのだ。ところが、何か良い「かほり」を嗅ぎつけたとたんに……

「行くわよ!」

「姫ちゃん、ヒールでしょ。ゆっくり!」

「うるさいわね、いま忙しいんだから、話しかけないで!

嗅ぐのが大好きな姫にとって、レバーはやはり究極のベイトにはなりえない。ある「かほり」にロックオンしてしまったときの姫は、五感がすべて臭覚に集中するので、もっと臭いが強いベイトでないと、きっと太刀打ちできないのだ。

世間では、ブルーチーズやヤギのチーズなんかを使っている飼い主さんもいるらしい。うちも試してみようかと、わざわざチーズ専門店を覗きにいったのだが、100g1500円の文字を見たとたん、貧乏飼い主はそそくさと店をあとにした。そこまでしてピシッとツケのしつけを入れるべきか、相談する相手が財布の中身というあたりが貧乏人の哀しさである。

むろん、アイデアだけでウン十年世渡りしてきた管理人である。もっと安価で手近な方法も考えた。1日中ブーツを履いていたあとの脱ぎたてストッキングや3日履いたあとのパンツなんかいけるのではないか、とわりとマジで考えたのだが、これは周りの犬飼い友に

「ほんとうにそこまでやりたいか、よく考えてみるように」

と諭された。たしかに、走りだそうとする犬に向かってパンツを振るのはかなり大胆な行動だ。

「もっとも効果的な方法は、その場でパンツを脱いで振ることだ」

とも言われたが、犬がピシッと横についてもその後恥ずかしくて近所を歩きまわれなくなるのでは意味がない。

そういえば、我が家でもう一頭飼っているイベリコ豚のほうも、何かを見つけてズンズンズンと歩きだすと油断したハンドラーはまずまちがいなく漬け物石のように引きずられる。こちらはすでに7年半もお稽古を続けているが、いまだ「ご意見無用」で何かに突進していく瞬間がある。こちらも真剣に、ベイト袋に乾燥したミミズの死骸を入れて持って歩くことを考えたのだが、それを手に持って盛大に振りたいか、と自分に問いかけるとさすがの管理人も躊躇する。

犬にとっての究極のベイトとは何なのだろうか?

飼い主の笑顔だ、という人もいるが、おそらくそういう人は、散歩の途中でイグアナやイベリコ豚に変身する犬を飼ったことがないのだろう。犬の嗜好にあった究極のベイトで、なおかつ飼い主も耐えられるという折衷案を見つけだすべく、日々試行錯誤を続ける管理人である。

ニックネーム 犬猫屋敷の管理人 at 11:27| Comment(5) | TrackBack(0) | しつけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする